外国人パイロットが日本で働くための『技能ビザ』を解説


外国人が日本でパイロットとして働くためには、どのようなビザを取得したらよいのでしょうか?

日本の観光立国化に伴い、航空需要は年々増加しており、パイロットの人手不足が深刻化しています。
さらに、いわゆるバブル世代の熟練パイロットが今後一斉に引退を迎えるため、今後はさらに人手不足が進むと予想されています。
このような背景から、今後は日本人パイロットだけでなく、外国人パイロットの採用も活発化する可能性があります。
本記事では、外国人パイロットが日本で働くために必要な「技能ビザ」の要件・申請方法・必要書類について、行政書士がわかりやすく解説します。
パイロットの仕事をするには『技能ビザ』が必要
外国人が日本でパイロットの仕事をする場合には、『技能ビザ』が必要です。
ここでいうパイロットとは、機長および副操縦士(副機長)を指します。
パイロットの技能ビザの取得要件
外国人パイロットが技能ビザを取得するには、以下の2つの要件をすべて満たす必要があります。
1.250時間以上の航空機の操縦経験があること
海外で機長または副操縦士の資格を持っていたとしても、250時間以上の飛行経歴がなければ『技能ビザ』の要件を満たしません。
この250時間という基準は、「事業用操縦士」や「計器飛行証明」を取得するために必要な飛行時間が250時間以上であることに由来します。
2.日本人と同等額以上の報酬を受けること
日本人が同様の業務に従事する場合と同額以上の給与(報酬)を受けることも条件の一つです。
熟練した技能の証明方法
技能ビザを取得するには、250時間以上の航空機の操縦経験を裏付ける証拠書類を入管に提出し、熟練した技能を証明する必要があります。主な証明書類は以下の通りです。
- 在職証明書
パイロットとして勤務していた期間と飛行時間を明記した証明書を提出します。
勤務していた会社名、所在地、電話番号、在職期間を明記した証明書を提出します。
複数の勤務先の経験を合算する場合は、それぞれの証明書を提出します。
原本に加え、日本語訳も必要です。
※在外日本大使館が勤務先に確認を行う場合もあるため、正確な記載が求められます。 - 公的機関が発行する職業証明書類
実務経験を証明する公的書類(職業登録証など)の入手が可能な場合は、こちらの公的書類でも問題ございません。
航空現場で働く人のビザの種類
1.ビザの種類
| 職種 | 該当する在留資格 |
|---|---|
| パイロット | 技能ビザ |
| 航空機関士 | 技術・人文知識・国際業務ビザ |
| 航空グランドハンドリング業務 | 特定技能ビザ |
| 航空整備業務 | 特定技能ビザ |
2.技能ビザと特定技能ビザの違い
技能ビザは、熟練した技術を持つ外国人が対象です。
一方、特定技能ビザは、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が対象で、教育や訓練を受ければ日本人でも従事できる作業を指します。
特定技能ビザは、建設業・製造業・介護など、幅広い分野で活用されています。
技能ビザの申請方法と必要書類
1.申請方法
申請は、最寄りの 出入国在留管理局(入管) に書類を提出して行います。
すでに日本に滞在している場合 → 「在留資格変更許可申請」を行います。
対象の外国人が海外にいる場合 → 「在留資格認定証明書(COE)」の発行を申請します。
2.必要書類
外国人を海外から呼び寄せる際に入管に提出する書類をご紹介いたします。ただし、最低限の書類となりますので、個々の事情に合わせて他に追加の書類を準備する必要があります。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 外国人の顔写真
- 従事する業務の内容を証明する所属機関の文書
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
- 履歴書・職歴経歴書
- 在職証明書
- 雇用内定通知書
- 勤務先の登記事項証明書
- 直近の決算書の写し
まとめ|技能ビザの申請は専門家に相談を
外国人のパイロットが日本で働くためには、技能ビザの取得 が不可欠です。
実務経験の証明や書類の整合性が不十分な場合、不許可になるケース も少なくありません。
「海外から外国人パイロットを採用したい」
「海外から派遣されるパイロットのビザを取得したい」
そのような場合は、技能ビザ申請に強い『オープンビザ行政書士事務所』 にぜひご相談ください。
経験豊富な行政書士が、確実な書類作成とスムーズな申請をサポートいたします。
