海外の学生をインターンシップとして受け入れるメリットや方法


外国人の学生をインターンシップとして日本に受け入れるメリットってなに?インターンシップ用のビザってあるの?受け入れの際の注意点等あれば知りたい。

「外国人学生をインターンとして受け入れたいけれど、どんなビザが必要なのか分からない」「報酬を支払っても大丈夫?」
そんな疑問をお持ちの企業様も多いのではないでしょうか。
外国人のインターンシップ受け入れは、人材確保や企業の国際化促進に大きなメリットがある一方で、在留資格(ビザ)の種類や受け入れ条件を誤ると入管法違反となるリスクもあります。
本記事では、外国人インターンを受け入れる際に必要なビザの種類や手続き、注意点、企業にとってのメリットを行政書士が分かりやすく解説します。
企業が外国人学生をインターンシップとして受け入れるメリット
外国人学生をインターンとして受け入れることは、企業と学生の双方にとって大きなメリットがあります。
1.企業側のメリット
- 優秀な人材との接点が持てる
海外大学の学生は高い専門性や語学力を持つケースが多く、将来の採用候補となる学生と交流できます。 - 採用のミスマッチを防げる
インターンを通じてお互いの理解を深め、本採用の際のリスクを軽減できます。 - 社内の国際化・多様性の促進
外国人学生との共同作業を通じて、社員のグローバル意識や異文化理解が高まります。
2.学生側のメリット
- 文化的・実務的な成長
日本文化の理解や国際的なキャリア形成に繋がります。 - 日本のビジネス現場を体験できる
実際の職場で日本式のマナーや働き方を学ぶことができます。 - 入社前のミスマッチを防げる
実際の業務を経験することで、自分に合った企業・業種を見極めやすくなります。
インターン受け入れ時に必要なビザの種類と手続き
外国人インターンを受け入れる際は、「日本の学校に在籍している学生か海外の学校に在籍している学生」また「報酬が発生するか否か」かによって必要なビザや手続きが異なります。
| 学生の所属先 | 報酬の有無 | 必要な在留資格 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 日本の学校 | あり | 資格外活動許可 | 最大28時間/週(特例あり) |
| 日本の学校 | なし | 不要 | 在学中活動として可 |
| 海外の学校 | あり | 特定活動(告示9号) | 最長1年(修業年限の1/2以内) |
| 海外の学校 | なし | 短期滞在または文化活動 | 90日以下 or 超過で区分 |
1.日本の学校に所属する外国人の学生を受け入れる場合
①報酬が発生する場合
資格外活動許可の取得が必要です。1週間に28時間以上のインターンシップに従事する場合は包括的な資格外活動許可を受ける必要があります。28時間を超える場合はそのための個別の資格外活動許可を受ける必要があります。ただし、個別資格外活動許可を得る場合は、原則、卒業時の学年である必要があります。
➁報酬が発生しない場合
報酬が発生しない場合は、特段の手続きは必要ありません。
2.海外の学校に所属する外国人の学生を受け入れる場合
こちらの場合もインターンシップで報酬が発生するかどうかによって手続きが異なります。
①報酬が発生する場合
在留資格「特定活動(告示9号)」を取得する必要があります。
インターンシップは最長1年で、通算して大学の修業年限の2分の1を超えない期間であることが必要です。また、学位が授与される学校に在籍している事も条件となっております。18歳以上の学生が対象であるため、4年制大学の学生や短期大学の学生が対象となります。
➁報酬が発生しない場合
インターンシップの活動期間が90日以下の場合は『短期滞在ビザ』。
90日を超える場合は『文化活動ビザ』の取得が必要です。
「特定活動(告示第9号)」で受け入れる際の注意点
上記の通り、海外の学生を報酬ありでインターンシップとして受け入れを行う場合、在留資格「特定活動(告示第9号)」の取得が必要です。「特定活動(告示第9号)」でインターンシップ生を受け入れる場合の企業の注意点について以下の通り解説致します。なお、以下の内容は外国人が所属する大学と締結するインターンシップの契約書に盛り込む必要があります。
1.学生に教育目的の活動を行わせること
インターンシップは、教育課程の一部である事から、企業は単なる労働力確保ではなく、教育的な視点を持った受け入れ体制の構築が求められています。以前、単なる労働力確保のために制度を悪用した企業が散見されたため、入管は厳格に受け入れ態勢を審査します。
2.インターンシップで取得できる単位を明確にすること
インターンシップによる単位取得や卒業要件が明確になっている必要があります。
3.最長1年のインターンシップ期間であること
インターンシップの期間は、1年を超えない期間で、かつ、通算して当該大学の修業年限の2分の1を超えない期間であることが求められます。
4.報酬条件と支払い方法が明確であること
学生に支払う報酬が固定給なのか、日給、時給なのか条件を決めることが必要です。また、現金支払いなのか銀行振り込みなのか等の報酬の支払い方法も決めておかなければいけません。
5.報酬から控除される項目が明確であること
家賃、水道光熱費、インターンシップ代など、支給される報酬から控除される金額や内容が明確であることが必要です。
6.インターンシップ中に加入する保険内容と負担者が明確であること
インターンシップ活動中における疾病やケガ等に備える保険の内容とその保険料の支払う者を明確にすることが必要です。
7.海外と日本の往復に係る費用の負担者が明確であること
海外と日本の往復に係る航空券、電車代、送迎代等の費用を負担するものが明確であることが必要です。
8.大学への状況報告する項目や時期が明確であること
学生の所属大学にインターンシップの実施状況について報告する必要があります。その項目や時期を明確にしておく必要があります。
9.インターンシップを中止する場合の要件が明確であること
やむを得ずインターンシップが中止となる場合の要件を明確にしておく必要があります。
10.インターンシップの具体的な実施計画を作成すること
インターンシップにおける各業務の目標や評価方法や指導内容について具体的に策定する必要があります。また、技能実習生を受け入れている場合や受け入れる予定のある企業の場合は、技能実習制度との違いの明確化させておく必要があります。
まとめ:外国人インターン受け入れを成功させるために
海外の学生をインターンシップとして受け入れることは、企業にとっても学生にとっても大きなメリットがあります。
ただし、制度の趣旨(教育課程の一部)を十分に理解し、適正な体制を整備していないと、管法違反や不法就労助長と判断されるリスクもあります。
オープンビザ行政書士事務所では、インターンシップ受け入れに必要な在留資格申請から、契約書の作成、大学との調整書類まで一括でサポートしております。
インターンシップ生の受け入れでお困りの企業は、お気軽にご相談ください。
